レオパが水に浸かるのはなぜ?水入れ管理と気をつけるべき注意点とは

テラリウム内で浅い水入れに半身を浸しているレオパードゲッコー。周囲には湿度を保った自然風のレイアウトが施され、落ち着いた様子がうかがえる。

レオパ(ヒョウモントカゲモドキ)が水に浸かる姿を見かけると、「水浴びが好き?」「それとも体調が悪い?」と疑問に思う飼い主さんは多いでしょう。

水に浸かる理由には、脱皮の準備や体温調節など様々ですが、その行動が頻繁な場合は注意が必要です。

もしかしたら、レオパが水飲みすぎのサインを出しているか、飼育環境が不適切である可能性を訴えているのかもしれません。

また、レオパ飼育において「水」の管理は非常に奥深く、水入れの選び方ひとつでレオパの行動や健康状態が変わることもあります。

多くの飼い主さんが直面する「水入れにうんちをしてしまう」という悩みや、「そもそも水入れはいらないのではないか」という根本的な疑問、飲み水は水道水で良いのか、水は何日ごとに交換すべきか、といった日常の管理に関する悩みは尽きません。

特に、水がすぐに汚れてしまったり、レオパが脱皮不全を繰り返したりする場合は、水管理の根本的な見直しが必要です。

さらに、単に水を設置するだけでなく、冷たい水がレオパの消化に与える影響や、水浴び中に溺れる危険性、温浴の際に耳に水が入るトラブルなど、水に浸かる行動に関連する様々な注意点も知っておく必要があります。

この記事では、レオパが水に浸かる行動の背景にある理由から、適切な湿度管理のおすすめアイテム、安全な水の与え方まで、レオパと「水」に関するあらゆる疑問を徹底解説します。

記事のポイント
  • レオパが水に浸かる主な4つの理由
  • 水入れの適切な選び方と管理方法
  • 水浴びや飲水に関する注意点
  • 飼育環境チェックポイントと改善策

レオパが水に浸かる行動の理由

湿度の高いウェットシェルターのそばでくつろぐレオパードゲッコー。シェルター内には結露が見られ、適切な湿度環境で体調を整えている様子が表現されている。

ハチュラボイメージ

  • 水に浸かる理由とは?
  • レオパが水を飲みすぎた時のサイン
  • 水入れにうんちをする心理
  • 湿度管理のおすすめアイテム
  • 水入れの選び方と設置場所

水に浸かる理由とは?

テラリウム内で水入れに近づき、興味深そうに覗き込むレオパードゲッコー。脱皮やストレス軽減のために水を利用する自然な行動が表現されている。

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レオパが水に浸かる主な理由として、主に次の4つが考えられます。

  1. 「脱皮の補助」
  2. 「体温調整」
  3. 「ストレス解消」
  4. 「好奇心」

これらはレオパの習性や体調に関連する行動であり、その頻度や状況によってレオパが何を求めているのかを推測できます。

一過性のものか、継続的なものかを見極めることが重要です。

脱皮をスムーズに行うための保湿

レオパは成長や新陳代謝に伴い、定期的に脱皮を行います。

脱皮の数日前になると、体全体の皮膚が白っぽく浮き上がり、新しい皮膚との間に隙間ができ始めます。

この時期、レオパは本能的に湿度を求めます。体を水に浸けて皮膚をふやかすことで、古い皮を柔らかくし、スムーズに剥がれやすくしているのです。

特に、適切な湿度勾配、すなわちウェットシェルターのような高湿度(80%以上)の隠れ家が用意されていない場合や、ウェットシェルター内の水分が不足している場合、レオパは代替手段として水入れに浸かることがあります。

脱皮不全は、レオパにとって非常に危険な状態です。

特に指先や尾の先に古い皮が残る「脱皮殻残存(ディスエコディシス)」は、放置すると血流を阻害し、指が曲がったり、最悪の場合は壊死して脱落する「指飛び」の原因となります。

そのため、脱皮前の兆候が見られたら、湿度管理が適切に行われているか再確認することが非常に重要です。

高温時における体温調整

レオパは変温動物であり、自身の体内で熱を生み出して体温を維持することができません。

外部の温度に依存して体温を調節します。

彼らの生息地(パキスタンやアフガニスタンなどの岩砂漠地帯)でも、日中は30℃を優に超えますが、彼らは涼しい岩陰や巣穴に隠れて高温を避けています。

飼育下での理想的な温度環境は、ホットスポット(パネルヒーターなどで暖められた約30℃の場所)とクールスポット(ケージの反対側などの約25℃の場所)が明確に分かれた「温度勾配」がある状態です。

レオパはこれを行き来することで、自身の体温を調節し、消化などを促します。

しかし、ケージ全体が均一に暑い(例えば、夏場にエアコン管理をせず室温自体が30℃を超えている、あるいはパネルヒーターが大きすぎる)と、レオパは逃げ場がなくなり、最終手段として水入れに避難して気化熱で体温を下げようとします

これは熱中症の一歩手前の危険な行動かもしれず、早急な環境改善(エアコンの使用、パネルヒーターの見直し、通気性の確保)が必要です。

ストレス解消やリラックス

レオパは比較的物怖じしない性格の個体が多いですが、環境の変化には敏感です。

例えば、引っ越しやケージのレイアウト変更、新しい個体のお迎え(別のケージが視界に入るだけでもストレスになることがあります)などが挙げられます。

また、ケージがテレビの近くなど騒がしい場所にある、頻繁にハンドリングしすぎている、他のペット(犬や猫)の視線に常にさらされているといった状況も、レオパにとっては大きなストレス要因です。

個体差はありますが、一部のレオパは水に浸かることで、一時的にでもリラックス効果を得ている、あるいは外部からの刺激を遮断しようとしている可能性が考えられます。

水に対する好奇心

特に若い個体(ベビーやヤング)や、新しい環境に迎えられたばかりの個体の場合、単純な好奇心から「これは何だろう?」「安全な場所か?」と探索行動の一環として水入れに入ってみることがあります。

この場合は一時的な行動で終わることが多く、環境に慣れ、他に安心できる場所(シェルターなど)を見つければ、自然と見られなくなることがほとんどです。

頻繁すぎる水浴びは環境悪化のサインかも

前述の通り、脱皮前でもないのに頻繁に水に浸かっている、あるいは水入れから出てこない時間が長い場合、それはケージ内の温度が高すぎる(特にクールスポットがない)、または湿度が低すぎる(乾燥しすぎている)という環境悪化のサインである可能性が非常に高いです。
これはレオパからのSOSサインと受け取り、ケージ内の温度計や湿度計を再確認し、飼育環境を早急に見直すきっかけにしましょう。

レオパが水を飲みすぎた時のサイン

レオパが普段より多く水を飲む(水飲みすぎ)ように見える場合、それは環境や体調の変化を示す重要なサインかもしれません。

レオパの飲水量は個体差が大きく、また夜行性のため飼い主が直接飲む姿を見る機会は少ないです。

そのため、「水入れの水の減りがいつもより格段に早い」といった客観的な変化に注目することが重要です。

主な原因として、脱皮前ケージ内の温度が高すぎることが挙げられます。

脱皮前は、皮膚をふやかすために水に浸かるだけでなく、体内の水分量を増やして脱皮に備えるため、飲水量が増加することがあります。

これは生理的な行動なので、脱皮が無事に終われば飲水量も元に戻ることがほとんどです。

また、ケージ内の温度が高すぎる場合や、全体的に乾燥しすぎている場合も、体温調節や喉の渇きから水分摂取量が増加します。

これは熱中症対策のような行動であり、早急な温度・湿度環境の見直しが必要です。

病気の可能性

注意が必要なのは、飼育環境(温度・湿度)に問題がないにもかかわらず、明らかに異常な量の水を飲み続ける場合です。

これは「多飲」と呼ばれ、内臓系の疾患(特に腎臓関連)の症状である可能性もゼロではありません。

腎機能に問題があると、体内の水分調節がうまくいかなくなり、結果として多飲多尿の症状を示すことがあります。

ただし、これはあくまで可能性であり、飼い主さんが診断できるものではありません。

排泄物のチェックも重要

水を飲みすぎている場合、排泄物(尿酸や糞)がいつもより水っぽく、緩くなることがあります。排泄物はレオパの健康状態を示す重要なバロメーターです。

正常な糞は適度に固形(黒~茶色)で、尿酸(白い部分)もプリンのようにある程度固まっています。

しかし、水を飲みすぎていると、糞が水様便になったり、尿酸が溶けて水っぽくなったりします。

環境温度などを見直しても排泄物の状態が戻らない場合、あるいは多飲とともに体重減少や食欲不振が見られる場合は、内臓系の疾患なども考えられるため、早めに動物病院で獣医師に相談することを検討してください。

水入れにうんちをする心理

レオパードゲッコーの水入れの中に糞がある状態のテラリウム。周囲を警戒するような表情のレオパが映っており、排泄場所の混乱やストレスが示唆されている。

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飼い主を悩ませる「水入れにうんちをする行動」は、ストレスや環境、時には病気が関係している可能性があります。

レオパは本来きれい好きで、ケージ内の決まった場所(多くは隅)で排泄する習性があります。

これは外敵に自分の居場所を悟られにくくするための本能的な行動とも言われています。

しかし、何らかの要因でそのルールが崩れ、水入れという「最も汚してほしくない場所」で排泄してしまうことがあります。

ストレスによる混乱

最も多い原因の一つがストレスです。

ケージを丸ごと移動させたり、ケージ内のレイアウト(シェルターや水入れの位置)を大幅に変更したりすると、レオパが混乱し、一時的にトイレの場所を認識できなくなることがあります。

また、ケージの掃除が頻繁すぎたり、逆に汚れすぎたりして安心できる場所がなくなった結果、なぜか水入れを「安全な排泄場所」と誤認してしまうケースです。

トイレと水入れの距離

物理的な問題として、レオパが元々トイレとして決めている場所と、水入れの設置場所が近すぎる場合、排泄のついでに、あるいは間違えて水入れでしてしまうことがあります。

トイレはケージの隅に決めることが多いため、その対角線上など、なるべく離れた場所(特にクールスポット側)に水入れを設置するのがセオリーです。

病気の可能性

頻度は稀ですが、消化器系の疾患や寄生虫(クリプトスポリジウムなど)に感染していることが原因で、排泄のコントロールが難しくなっている可能性もゼロではありません。

特に下痢や軟便が続く中で水入れの汚れが目立つ場合は、注意が必要です。

このような症状が見られる場合、日本獣医師会などが提供するお近くの動物病院情報も参考に、爬虫類を診察できる専門病院で糞便検査を受けることを強く推奨します。

水入れにうんちを見つけたら

うんちを見つけたら、速やかに水入れを洗浄・消毒してください。

糞尿が溶け出した水をレオパが飲むと、細菌感染や寄生虫の再感染を引き起こし、深刻な体調不良の原因になります。

洗浄の際は、まず糞尿を捨て、食器用洗剤などで物理的に汚れを落とします。

その後、ペット用の安全な除菌スプレーを使用するか、熱湯消毒が効果的です。

もしハイターなどの塩素系漂白剤を使用する場合は、規定通りに希釈し、数分間つけ置きした後、洗剤成分や塩素が一切残らないよう、これでもかというほど徹底的にすすぎ洗いをしてください。

この行動が続くようであれば、水入れの設置場所を変えたり、あえて形状の違う水入れ(例:体が入れないほど小さいもの)に変えてみるのも一つの手です。

湿度管理のおすすめアイテム

レオパの健康、特にスムーズな脱皮をサポートするためには、適切な湿度管理が不可欠です。

レオパの生息地は「砂漠」と聞くと乾燥地帯をイメージしますが、実際には彼らは日中、適度な湿度(60%以上とも言われる)が保たれた岩陰や巣穴で休息しています。

飼育下でもこの「部分的な高湿度環境」の再現が、脱皮不全を防ぐ最大の鍵となります。

必須アイテム:ウェットシェルター

レオパ飼育における湿度管理の定番アイテムがウェットシェルターです。

例えば、株式会社スドーの「ウェットシェルター」は特に有名で、多くの飼育者に愛用されています。

これは素焼きの陶器製で、上部のくぼみに水を入れると、陶器が水を吸い上げて内部の湿度を適切に(多くの場合80%以上)保つ仕組みになっています。

レオパは脱皮前や休息したい時に自ら中に入り、必要な湿度を補給します。

これが適切に機能していれば、水入れに浸かる行動を劇的に減らす効果も期待できます。

サイズもS, M, Lなど複数展開されているため、レオパの成長に合わせて買い替えるのが理想です(シェルターが体に対して大きすぎても小さすぎても落ち着かないため)。

ウェットシェルターのメンテナンス

ウェットシェルターは非常に便利ですが、水を常に入れるため、特に夏場はカビが発生しやすいという欠点もあります。
上部の水は毎日~2日に1回は交換し、その際に内部もチェックして、カビや汚れがないか確認しましょう。
定期的に(最低でも1~2週間に一度は)ブラシなどで内部を洗浄し、清潔に保つことが重要です。

補助的な湿度管理:霧吹き

ケージ全体が乾燥しすぎている場合(特にエアコンを使用する冬場は湿度が20%台になることもあります)、1日に数回、ケージの壁面などに霧吹きをするのも有効です。

レオパが壁面についた水滴を舐めて水分補給することもあります。

ただし、ケージ全体の湿度が高すぎるとカビや呼吸器系疾患の原因になるため、やり過ぎは禁物です。

床材(特にヤシガラやソイル)が常に湿っている状態は、カビや細菌の温床となり、レオパのお腹が冷えたり、皮膚病(水カビなど)の原因になったりする恐れがあります。

霧吹きは壁面やシェルター周辺に軽く行う程度にし、床材はサラリとした状態を保つのがコツです。

ケージ内には必ず湿度計を設置し、ケージ全体の湿度は40%〜60%程度、ウェットシェルター内は80%以上、という「湿度のメリハリ」をつけることを意識しましょう。

ウェットシェルターは、まさにレオパにとっての「オアシス(安全な隠れ家兼保湿場所)」です。

多くのレオパは、脱皮が近づくとこの中で過ごす時間が長くなります。

水入れで体を濡らす代わりに、シェルターで安全かつ快適に湿度を得られる環境を整えてあげましょう。

水入れの選び方と設置場所

浅くて安定した形状の水入れがテーブルに複数並べられ、日本人の飼育者がその一つをテラリウム内に設置しようとしている場面。安全で清潔な水入れ選びの重要性を示す。

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水入れは、レオパが安全に、かつ快適に使用できるものを選ぶ必要があります。

形状や設置場所が不適切だと、水が飲まれなかったり、ひっくり返して床材を水浸しにしたり、最悪の場合、幼い個体が事故(溺れ)を起こす原因になったりします。

水入れ選びの3つのポイント

  1. 浅くて安定感があること
    最も重要なポイントです。
    水深が深いと、特に幼い個体(ベビーやヤング)は体力がなく、溺れる危険があります。
    目安として、水深は5mm~1cm程度、レオパが立った時のお腹の高さより浅いものを選びましょう。
    また、レオパが縁に乗ったり、寄りかかったりしても倒れにくい、ある程度の重さがある陶器製やレジン(樹脂)製がおすすめです。
    プラスチック製は軽くて安価ですが、ひっくり返しやすい欠点があります。
    ひっくり返ると、床材が濡れて不衛生になるだけでなく、レオパが飲む水がなくなってしまいます。
  2. 洗いやすい素材であること
    水は毎日交換が理想ですが、同時に容器も定期的に洗浄(ぬめり取り)する必要があります。
    デザイン性が高い岩肌のような水入れも魅力的ですが、凹凸が多いものや複雑な形状のものは、バイオフィルム(ぬめり)が残りやすく不衛生的です。
    健康管理の観点からは、内側が滑らかで洗いやすい、シンプルな陶器製のお皿(例:GEXのウォーターディッシュなど)が最適です。
  3. 適切なサイズ
    体がすっぽり入る大きさは、水浴びには良いですが、前述の通りうんちをされる可能性も高まります。
    また、水量が多すぎると交換も大変です。
    ウェットシェルターが適切に機能していれば、水入れは「飲水専用」と割り切り、あえて体が入らない小さなサイズ(直径5cm程度など)を選ぶのも、管理を楽にする一つの有効な方法です。

おすすめの設置場所

設置場所は、隠れ家(シェルター)の近くなど、レオパが安心して近づける場所が理想です。

人目につきやすいケージの中央などは、レオパが警戒して近づかず、結果として水を飲まない原因になることがあります。

また、最も避けるべき場所は、ホットスポットの真下やパネルヒーターの上です。

水がお湯になってしまい、飲めなくなるだけでなく、雑菌が通常とは比較にならない速度で繁殖します。

水入れは必ず、ケージ内の「クールスポット(涼しい場所)」に置くのが基本です。

レオパが水に浸かる環境の管理

日本人の飼育者がレオパのテラリウム内の温度計と湿度計をチェックしている様子。温度勾配や水入れ、ウェットシェルターなどが適切に設置され、清潔な飼育環境が整えられている。

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  • 水入れはいらないという説は本当?
  • 水道水は安全?何日で交換?
  • 冷たい水が与える影響
  • 溺れる危険と耳に水の対処法
  • レオパが水に浸かる時の注意点

水入れはいらないという説は本当?

「水入れはいらない」という説も一部で聞かれますが、結論から言うと、よほど管理に自信があるベテラン飼育者以外は、基本的には設置しておくことを強く推奨します。

この説の根拠は、確かに野生のレオパは水入れから水を飲むわけではなく、主に夜露や餌となる昆虫から水分を摂取しているという点にあります。

この習性を根拠に、飼育下でも水入れを置かず、毎日の霧吹きだけで水分補給をさせるスタイルも存在します。

しかし、この方法には大きなリスクが伴います。

飼育下では、餌の昆虫(コオロギやデュビア)の水分量も限られており、飼い主さんの霧吹きの頻度や量にもムラが出がちです。

レオパが水を飲みたいタイミングで壁面に水滴がなかった場合、慢性的な水分不足から脱水のリスクが生じます。

脱水は、一度なると回復が難しく、「目がくぼむ」「皮膚のハリがなくなる(背中の皮膚を軽くつまんでも戻りが遅い)」「食欲が落ちる」といった症状が出た時点では、かなり進行している可能性があります。

特に幼体や体調を崩した個体は、脱水が命取りになりかねません。

水入れは、レオパ自身が「今、水分が必要だ」と感じた時に、いつでも自由にアクセスできるための命の保険として非常に有効です。

飼育者が在宅中かどうかにかかわらず、常に新鮮な水を飲める環境を整えておくことが、レオパの長期的な健康維持に直結します。

水入れを置く場合の湿度への影響

水入れを設置すると、そこからの蒸発により、ケージ内の湿度が上がりやすくなります。

これは乾燥する冬場にはメリットになりますが、逆に梅雨時期や多湿の環境では、水入れの水が原因でケージ全体が多湿(蒸れ)になりすぎないよう注意が必要です。

ケージの通気性を確保する(例:ケージの蓋を一部メッシュにする、サーキュレーターで部屋の空気を循環させる)などの工夫も必要になります。

水道水は安全?何日で交換?

日本人の飼育者がレオパードゲッコー用の浅い水入れに水道水を注いでいる様子。清潔なテラリウムが背景にあり、日々の水交換による衛生管理の重要性が表現されている。

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飲み水に関する疑問は多いですが、管理のしやすさと衛生面から見ても、基本的には水道水で問題ありません

そして、交換頻度は毎日行うのが理想です。

水道水が推奨される理由

日本の水道水は、厚生労働省の定める水道水質基準に基づき厳しく管理されており、人だけでなく爬虫類にも安全とされています。

水道水に含まれる微量の塩素(カルキ)は、人間には影響ありませんが、水中の雑菌に対しては強力な繁殖抑制効果を発揮します。

「カルキ抜き(中和剤)は必要か?」という疑問もありますが、基本的には不要です。

レオパがカルキ臭を嫌って飲まないという話も聞きますが、多くの個体は問題なく飲みます。

どうしても飲まない個体に限り、カルキ抜き剤を使用するか、汲み置きした水(塩素が抜ける)を与えることを検討します。

健康を考えてミネラルウォーターや浄水器の水、一度沸騰させた白湯を与えたくなるかもしれませんが、これらは塩素が除去されているため、水道水よりも雑菌が繁殖しやすく、腐敗しやすいというデメリットがあります。

特にミネラルウォーターの中でも「硬水」は、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分が過剰に含まれており、レオパの腎臓に負担をかける可能性があるため避けるべきです。

もしミネラルウォーターを使う場合は必ず「軟水」を選び、かつ毎日交換してください。

水は何日で交換すべきか

水はケージ内の温度や環境にもよりますが、おおよそ2〜3日程度で雑菌が繁殖し始め、水入れの底が「ぬるぬる」してくると言われています。

これはバイオフィルムと呼ばれる細菌の集合体であり、レオパがこれを飲むことは衛生的によくありません。

特に夏場や、水にサプリメント(整腸剤やビタミン剤)を混ぜている場合は、これらが栄養源となり、腐敗のスピードが格段に速まります。

夏場なら半日、冬場でも1日で交換するのが安全です。

交換を忘れるリスクも考慮し、最低でも2日に1回、できれば毎日交換することを飼育のルーティンとして習慣にしましょう。

レオパが腐敗した水を飲むと、下痢や嘔吐、拒食を引き起こす可能性があり、体力のない幼体や老齢個体にとってはそれが命取りになることもあります。

水の種類 メリット デメリット・注意点
水道水 塩素により雑菌が繁殖しにくい。
安全基準が高い。
カルキ臭を嫌う個体もいる(稀)。
浄水・白湯 カルキ臭がない。 塩素が除去されており腐敗しやすい(毎日交換必須)。
ミネラルウォーター カルキ臭がない。 硬水はNG(内臓に負担)。
使用するなら軟水を選ぶ。腐敗もしやすい。
サプリを混ぜた水 栄養補給ができる(獣医師の指示がある場合など)。 非常に腐敗しやすい(夏場は半日、冬場でも毎日交換が絶対条件)。

冷たい水が与える影響

レオパに与える水は、常温が基本です。

冷蔵庫で冷やした水はもちろん、冬場に蛇口から出したばかりのキンキンに冷たい水(時として5℃近くになることもあります)は、レオパの内臓に深刻な負担をかける可能性があるため避けたほうが賢明です。

レオパは変温動物であり、外部の温度を利用して体温を維持し、消化酵素を活性化させます(特に30℃前後が最も活発)。

冷たすぎる水が体内に入ると、内臓の温度が急激に低下し、消化活動がストップしてしまうのです。

これが消化不良や、ひどい場合は食べた餌が体内で異常発酵・腐敗し、ガスが溜まったり、吐き戻したりする原因にもなります。

特に冬場、水道水は非常に冷たくなっています。

蛇口から出したばかりの水をそのまま与えるのではなく、少し汲み置きして室温程度(ケージ内の室温、つまり20℃以上)に戻した水を与えるようにしましょう。

汲み置き用の小さなペットボトルや水差しをケージの近くに常備し、室温に慣らしておくのが最も簡単な方法です。

人工フードを水でふやかす際も同様に、常温の水か、ぬるま湯(人肌程度の35〜40℃)を使用することをおすすめします。

これによりフードの消化吸収も良くなると言われています。

溺れる危険と耳に水の対処法

浅い水深の水入れのそばにいるレオパードゲッコー。水位は1cm未満で、小さな石が足がかりとして配置されており、安全性と耳への水の影響を考慮した設計が示されている。

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レオパは泳ぎが得意な動物ではないため、水深がある場所では溺れる危険があります。

また、頭部の構造上、耳に水が入りやすいため、特に意図的に水に浸からせる「温浴」の際は細心の注意が必要です。

水入れで溺れる事故を防ぐ

最も重要な対策は、水入れの選び方です。

前述の通り、水入れはレオパの腹部が浸かるか浸からないか程度の浅いもの(水深1cm以下推奨)を選んでください。

万が一ひっくり返っても、すぐに体勢を立て直せる水深が安全です。

特に体力のないベビーや体力の落ちた個体、病気で弱っている個体、高齢個体(老レオパ)には細心の注意を払いましょう。

もしレイアウトの都合で少し深さのある水入れを使う場合は、水入れの中に、足がかりになるような小さな石(誤飲しないサイズ)や、人工水草の一部を入れておくと、万が一ひっくり返った時にも起き上がりやすくなり、事故防止に役立ちます。

温浴時に耳に水が入ったら

レオパの耳は、頭の横(目の後方)に開いている大きな穴(外耳孔)です。

人間の耳たぶのような水を防ぐ構造がなく、鼓膜が比較的浅い位置に見えるため、非常にデリケートな器官です。

ここに水が溜まると、中耳炎などの病気の原因になることがあります。

脱皮不全などで温浴(ぬるま湯に浸からせる)を行う際は、使用する容器の水位をレオパのお腹が浸かる程度まで(水深1~2cm程度)にし、レオパの頭部や耳が水に浸からないよう細心の注意を払いましょう。

温浴中の水温は人肌より少しぬるい30〜35℃程度が適温です。

耳に水が入った時の対処法

もし温浴中に暴れるなどして耳に水が入ってしまった場合は、まずレオパの頭を優しく傾けて、水が入った方の耳を下にし、自然に水が出るのを待ちます。

それでも水が残っているようなら、綿棒の先端をそっと穴の入り口に当てて、水分を吸い取らせてください。

または、ティッシュを細くこよりにして、そっと差し込む方法も安全です。

絶対に綿棒やティッシュを耳の奥まで入れないでください。

内部のデリケートな器官を傷つける危険があります。

水が残ったままになると、そこから細菌が繁殖し、中耳炎や感染症のリスクが非常に高くなります。

処置後も頭を傾ける仕草を頻繁にする(斜頸)場合は、水が抜けていないか炎症が起きている可能性があるので、速やかに獣医師に相談してください。

レオパが水に浸かる時の注意点

この記事で解説した、レオパが水に浸かる行動に関する要点をまとめます。

レオパは言葉を話せないため、こうした行動の変化が飼育環境を見直す重要なサインとなります。日々の飼育環境のチェックに役立ててください。

  • レオパが水に浸かるのは脱皮や体温調節のサインが主
  • 頻繁な水浴びは温度(高すぎる)や湿度(低すぎる)が不適切な可能性大
  • 水飲みすぎ(多飲)はケージが暑すぎるか脱皮前の兆候
  • 環境に問題がないのに多飲が続く場合は腎臓疾患の可能性も
  • 水入れのうんちはストレス(環境変化)やトイレと水入れが近いことが原因
  • 水入れにうんちを見つけたら速やかに清掃・消毒する
  • 湿度管理には「ウェットシェルター」の設置が最もおすすめ
  • ケージ全体の湿度は40-60%、シェルター内は80%以上とメリハリをつける
  • 水入れは「浅く」「重く(安定)」「洗いやすい」ものが最適
  • 水入れはいらない説もあるが脱水予防の保険として設置を強く推奨
  • 飲み水は塩素で殺菌されている「水道水」が最も管理しやすい
  • 浄水や白湯、軟水のミネラルウォーターは塩素がなく腐敗が早いため注意
  • 硬水のミネラルウォーターは内臓に負担をかけるためNG
  • 水の交換は「毎日」行い、容器も洗浄するのが理想
  • サプリを混ぜた水は非常に腐敗しやすいため即日交換が必須
  • 冷たい水は消化不良の原因になるため「常温」の水を与える
  • 水深が深いと溺れる危険があるため水入れは水深1cm以下にする
  • 温浴の際は耳に水が入らないよう水位に細心の注意を払う
  • 耳に水が入ったら綿棒の先で優しく吸い取り、奥には絶対に入れない
ゆう

爬虫類飼育歴15年以上。レオパ、フトアゴ、ボールパイソンなど、乾燥系から多湿系まで、多様な生体の飼育・繁殖を経験。この15年は、単なる時間の経過ではなく、絶え間ない試行錯誤と学びの連続でした。
国内外の専門書や学術論文を読み解き、複数の専門医やブリーダーの見解を比較・検証した上で、本当に信頼できると確信した情報のみを発信することを信条としています。長年の実践経験と、徹底した情報収集に基づいた、信頼性の高い情報をお届けします。

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